December 17, 2023

<WATOWA ART AWARD 2023 受賞者のご紹介/審査員からのコメント>

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WATOWA ART AWARD 2023 受賞者/審査員コメントを発表します!
皆様、受賞、入選おめでとうございます。
WATOWA ART AWARDは引き続き皆様の活動を応援してまいります。

【グランプリ】
該当者なし

【準グランプリ】

亀川 果野、サカイケイタ×芦藻 彬、FRAGILE

【奨励賞】

ミノワ タカハル

 

【個人賞】

鬼頭 健吾 賞 サカイケイタ×芦藻 彬 (準グランプリと同時受賞)

ヒロ杉山 賞 Albert Sy
薄久保 香 賞 尾花 智子
高橋 理子 賞 FRAGILE(準グランプリと同時受賞)
真鍋 大度 賞 中村 美津穂
永山 祐子 賞 尾花 智子
沓名 美和 賞 亀川 果野 (準グランプリと同時受賞)/ Pepito Matta
牧 正大 賞 亀川 果野 (準グランプリと同時受賞)
河西 香奈 賞 亀川 果野 (準グランプリと同時受賞)
家入 一真 賞 Finian Richman
大城 崇聡 賞 髙橋 侑子
高橋 隆史 賞 西村 大樹
寺内 俊博 賞 高橋 周平
小松 隆宏 賞 ミノワ タカハル (奨励賞と同時受賞)

【入選】

Andrew Weir、伊藤 夏葉、Embeli Lea、勝倉 大和、Ken、KENTA TODA、佐藤 瞳、島内 秀幸、上樂 博之、関口 潮、高野 勇二、タナカ アラシ、タブチ トヨアキ、tsumichara、唐來 夏帆、西村 祐美、春田 紗良、平子 暖、Masaki Hagino、MIRANDA YOKOTA、森島 善則、森田 夏鈴、山田 慧、yoko ichimura、吉高 ゆうき


準グランプリ

亀川 果野
「風景を分かる」
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WATOWA ART AWARDコメント

日本画作品が、このアワードに参加することが稀ではあるが、彼女の作品はただの日本画に留まらない新しい可能性を感じるものだった。 日本が固有に持つ"ひらがな"という文字を使用することで、流れるような空気感、ゆっくりとしたリズムが生まれ、平面の中で立体や空間を感じる。吸い込まれるようなレイヤー、構成のテクニック、完成度にも審査員それぞれから評価があった。 日本人だからこそ扱える胡粉や和紙、世界から見たときのオリジナリティも彼女の作品の魅力の一つになっています。(by 牧正大)などのコメントにもあるように、今後の活動にも期待したい。



サカイケイタ×芦藻 彬
「Composition of colors-SCISSIONE/分裂」

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WATOWA ART AWARDコメント

昨今の日本のアニメや漫画ブームにおける"カワイイ""女の子""アニメPOP"漫画"という大きなコマ割りを含む1ページの構成の中で物語を紡いでいくその1ページを建築漫画として活動してる芦藻 彬 と、ビジュアルアーティストのサカイケイタとのユニットである。

異なるフィールドで活動する彼らのコラボレーションは、建築漫画という新たなジャンルをら生み出しているところが、選出のポイントとなった。スカルパの墓地という有名建築物をテーマにして描かれた建築漫画の構成に、色彩構成をミックスしてコラージュした作品は、"漫画"の1ページを違った意味をもたらしたものに感じる。 文庫本など漫画が一般的使用される規格サイズではなく、絵画作品として大きく描かれてるのも、平面作品として、絵画を目指していると感じたポイントでもある。 継続することで2人だけの新しい表現のジャンルとして、認知されることを注目したい。


FRAGILE
「Bones」

Bones - 尼子友加里.jpg

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WATOWA ART AWARDコメント
「Bones 」 は、多数の作品が集まる中、 完成度の高さと、作品に適したサイズ、インパクト等、バランスのとれた作品であるということが準グランプリとして選ばれた理由となる。 ジェフクーンズのアプロプリエーションである中で、BONES( 骨 )という、死や衰退をイメージさせるものがポップかつふくよかに表現されているのがとてもユニークである。 審査員からも巧妙かつ軽やかに社会問題に切り込んでいくセンスや、親しみやすいポップさと共存するダークな雰囲気のバランスに心地良さを感じるといった意見があがった。今後さらなる活躍を期待したいアーティストである。


奨励賞

ミノワ タカハル
「The Tile」
watowaartaward 2023 作品写真-1 - みのたか (1).jpg

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WATOWA ART AWARDコメント
焼きもの」の歴史は古く、時代とともに装飾性・意匠性が高まってきた。
「焼き物」は、芸術品としての評価は受けられず工芸品と捉えられることが多かった。
陶工は「職人」ではあったが、芸術家としての「陶芸家」との評価を得られるようになってからさほどの年月は経っていないように思う。
ここ数年の陶芸ブームにより、(一部の)陶芸が現代美術として評価されるようになった。

ミノワタカハルは、まさに陶芸がいかにして芸術的な表現を持ち、陶芸の積み重ねてきた技法、その歴史と文脈に正面から向き合いながら制作しているように感じる。
今後、彼が挑んでいる陶芸と芸術の先に彼独自の表現がより高まっていくことを期待して奨励賞とさせていただきます。


【審査員コメント】

鬼頭 健吾

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【総評】

このアワードが今年で3回目ということが原因なのか、偶然なのか全体を通して言えることはグランプリになるような作品が見当たらなかった。

ポートフォリオには素晴らしく見える作品が載っているのだが出品作は意識してるのかしていないのか2番3番みたいな作品を出品されている方が多くみられた。サイズに関しても規定サイズいっぱいで出している作家は少なく、かと言って小さな作品でなくてはいけない意味を感じないものばかりであった。他にも多くのアワードもあり、展示の機会も増えてきている背景もあるのかもしれないが、今回は審査員としてもアワードのあり方を考えさせられる回になったなと考えています。

 composition of colors 11P - keita sakai.jpg

【個人賞】

サカイケイタ×芦藻 彬
"Composition of colors-SCISSIONE/分裂"

芦藻 彬さんのスカルパの墓地をモチーフにされた漫画にサカイケイタさんの色面を構成した作品は平面であるにもかかわらず立体を見ているように感じました。単純にコマの形や画面に沿って色面をおいているのですが通常の立体作品が建築構造のサカイさんを芦藻さんの漫画構造に当てはめることによってこのシリーズは更に可能性を感じるエッセンスとなっています。直感的にこの作品が新鮮に映りました。


 

ヒロ杉山

sns_審査員_02.ヒロ杉山.png【総評】
今年で3回目となるWATOWA ART AWWRDの審査、今年もどんな才能に出会えるか、どんな刺激を受けるか、楽しみに審査に挑みました。

審査会場に入り、目の前に並んだ作品群からいつも感じる無条件で伝わってくる熱量みたいなものが今年は少し弱かったかなという印象です。
大きければ良いいという訳ではないが、既定の最大サイズである80号というサイズの作品が少なかった。
デジタルプリントという安易な手法で仕上げている作品も多かった。
しかし、キャッチーで目を引く作品ではないがコンセプト文を読み、じわじわとその作品の魅力が伝わってくる作品もいくつかありました。
1次審査の段階で選ばれなかった作品の中には、既視感を感じる作品が多かったように感じました。SNSを見ていると毎日、ものすごい数の作品の情報が入ってくる中、それらに全く影響を受けずに自分の作品を制作するというのは、かなり困難な時代だと思います。しかし、アーティストの本質は、オリジナリティだと思います。最終的に賞候補に選ばれた作品は、奇抜な表現ではないが、これまですでにあった考え方や表現方法に、自分のオリジナリティと今を感じさせるモノでした。

RISE xx - Alyas Morgus (1).jpg【個人賞】
Albert Sy

"Rise"

地中に伸びる根の様でもあり、地割れ様でもあり、何かの部分拡大された物の様にも
見えるその形は、空間に無限に広がり続ける音を感じさせる作品でした。
モノトーンでシンプルな作品ですが、骨太な力強さを感じました。とても興味深い絵画です。
繊細な筆のタッチも好きでした。


薄久保 香

sns_審査員_03.薄久保 香.png【総評】

今回の応募作では、ポートフォリオデータを丁寧に読み込んでゆく過程から見出される作品の魅力の他方に、実際提出された作品のアウトプット方法や形式、サイズ等が上手く噛み合わない出品者が多く見受けられたことは非常に惜しい点でもありました。また特徴的な傾向として、デジタル技術やAIをテーマやプロセスに導入した作品が増えたことが挙げられます。例えばこの事実は、AIの台頭と普及により大きな変革期を迎える今、「人間」である表現者としての創造性や感性をどう解釈し扱うかが同時に命題化されることを明らかにします。デジタルツールやAI技術を取り入れた表現方法から価値を考えるだけではなく、人間の感覚や身体、非合理性、更には人智の及ばない可能性から未来をどう考えるのか等、ここには実に探究を要する資源が隠されているはずです。現状の把握を超えた先の「何か」を模索する作品が今後より増えてゆくことを期待します。

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【個人賞】
尾花 智子
"230907" 

 尾花智子さんの作品を目の前にした時ふと、プルーストが描写したマドレーヌの挿話を想い出した。時間、身体、記憶、その混沌をおさめてしまうかのように形作られた瓶たち。身体と記憶を結ぶ見えない思考に浸された彼女の器からは、無意志的記憶(mémoire involontaire)の香りがした。
*******************************************
古い過去から、人間の死後、事物の破壊後、何一つ残るものがなくなるときも、ただ匂いと味だけは、もっともごくか弱くはあるが、それだけ根強く、非物質的に、執拗に、忠実に、なお長い間かわることなく、魂のように残っていて、あの追憶の膨大な建築を、他のすべてのものの廃墟のうえに、喚起し、期待し、希望し、匂いと味の極微の雫のうえに、しっかと支えるのだ。
マルセル・プルースト『失われた時を求めて第一編 』より


高橋 理子

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【総評】

今回、初めてWATOWA ART AWARDの審査に参加させていただき、今を生きる芸術家たちの創造性に感動しました。デジタル作品も多く見られ、表現の新しい道が開かれていることも窺えました。しかしながら、技術的な巧みさやビジュアルの美しさが際立っている一方で、作品が伝えるメッセージやアイディアが不透明であると感じることもありました。アートは視覚的な美しさや強さだけでなく、深い意味やメッセージを伴って初めて完全なものとなります。他者が共感できるような明確なコンセプトを持つ作品が、より強い印象を残すことができるでしょう。審査では、それぞれの審査員が独自の感性や経験をもとに評価を行い、多方面に意見が分かれましたが、それは審査のプロセスにおける大変豊かな側面であると感じました。アートアワードは様々なアプローチやスタイルが交錯する場であり、その中でより際立つ作品が期待されます。WATOWA ART AWARDが、未知のアーティストや新進気鋭の才能を発掘する場となると同時に、異なるコミュニティや文化を結びつけるきっかけになることを期待しています。

Bones - 尼子友加里.jpg

【個人賞】
FRAGILE
"Bones"

平面作品の中でテクスチャーや立体感のある作品は目を惹きやすいものの、それらは小型のものが多く、伸びやかに描かれた本作に目が留まった。モチーフや表現に多少の既視感はあるが、コンセプトは明快であり、親しみやすいポップさと共存するダークな雰囲気のバランスに心地良さを感じた。鑑賞者に深い考察を促す、メッセージがしっかりと込められた作品である。巧妙かつ軽やかに社会問題に切り込んでいくセンスで、さらなる挑戦を続けてほしい。


真鍋 大度

sns_審査員_04.真鍋 大度.png【総評】

WATOWA ART AWARDの審査に参加させていただいたことは、私にとって多くの新鮮な刺激を受ける機会となり、普段はなかなか触れることのない多様なアート作品に触れることができ、また審査の議論を通じて新しいアートの流れも観察することができました。

このAWARDの特徴の一つは、明確な評価基準が設けられていないことだと思います。私たち審査員には自由度の高い審査が可能ですが、同時にアーティストの皆さんにとっては不透明であると感じられたかもしれません。ですが、このアプローチはアーティストの方にとってはある意味大きなチャンスとなると思います。スタイルを自由に表現し、多様なアイデアを試す機会が与えられますし、多くのアーティストの方がこのAWARDに挑戦することができると思います。

今後もこのようなイベントが多くの作家・アーティストの方にとっての扉を開き、彼らの才能が広く認識される機会となることを願っています。

作品 正面 - Mizuho Nakamura (1).jpg【個人賞】
中村 美津穂
"see -no,18-"

この作品は、建築的な視点と独創的なデザイン能力を巧みに融合させたもので、多岐にわたる可能性を秘めていると感じました。単に美的な側面だけでなく、機能性や空間に対する深い理解が感じられ、建築の原則をアートに取り入れることで、視覚的な魅力と現代的なアプローチを兼ね備えています。今後もどのような新しいプロジェクトに挑戦し、その創造性をどのように発展させていくのか、その進化に期待したいと思います。


 

永山 祐子

sns_審査員_05.永山 祐子.png【総評】

審査をお引き受けしてから平面作品のアワードということを知り、若干の不安があった。以前から平面作品の評価は難しいと思っていたからだった。普段、建築、空間の設計をしていることもあり、空間と相まったインスタレーション作品や立体作品などは理解がしやすいのかもしれない。1次審査は小さな作品データと作品概要ということでなかなか絵の質感、大きさ(寸法表記はあるけれど、、)が掴めない上に、概要には各々の思いが綴られており、なかなかこれも読み取りに一苦労であった。不安な気持ちのまま会場に着いた時、所狭しと並べられた作品群に思った以上に圧倒された。アートの力だ。何度も見回して廻るたびに気持ちが揺らいだけれど、最終的に私が選んだのは写真では気づくことのできなかった特有のマチエールを持ったものであった。実物が見れたことで得られた質感に心が惹かれたのかもしれない。それぞれの審査員が各々の作品を選定したが、なかなか重なることなく難航した。それぞれに光るところはあるけれど多くの人の心をぶっちぎりで掴む力強さがなかったのだろう。アート、クリエイティブの世界は厳しい。選ばれ続けなければならない。でも挑戦する価値がある。やるからにはそこを目指して邁進してほしい。

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【個人賞】
尾花 智子
"230907"

個人賞として選んだのは実は1次審査の時から印象深かった尾花智子さんの陶器の作品だった。焼き物を左右対称に並べ、その余白ごと作品として捉え、あえて一つの絵として設えた平面作品だ。焼かれたモノたちは日常の中で目にするような小さな生活の道具だ。乾いた表情の焼き物のマットな表面にはよく見ると小さな目盛りがあり薬瓶だとわかる。家紋が入っていてもしかするとこれは神棚にあった神酒入れかなと想像させられる。この対称性に関しても神聖な神棚を想起させられる。様々な生活のシーンが背景に垣間見える。でもこの作品の特徴と魅力はその実(じつ)側のストーリーを超えて空(くう)の部分の絶妙な陰影だ。モランディの絵の中の見える静謐な緊張感を感じた。過去作も見させていただいたが、とても魅力ある作品が多く、これからがとても楽しみな作家さんだなと思う。


沓名 美和

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総評
なし

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【個人賞】

亀川 果野

"風景を分かる"

古来、日本人は言葉を紡ぐより以前に、文字そのものひとつのメディアとして捉え、目や心に浮かぶイメージを託してきた。まるで心象風景を捉えたようにも見える亀川果野の作品は、そうした連綿と続いてきた人と文字の関係を振り返るとともに、人間の認知や、アートにおける文字の役割、その可能性を明確な意思を持って探求しているのでしょう。

Thomas Vauthier - 1 - Thomas Vauthier.jpg

Pepito Matta

"Les Célibataires, quatre-vingt et 100 ans plus tard (独身者たち、80年と100年後)"

今回、Pepito Mattaは作品を通して美術史と多角的な対話に挑戦して見せたといえるでしょう。『独身者たちの80年後、100年後』という作品は、一見、ただの平面作品ですが、現代美術の先駆けとなったデュシャンの思索を的確に理解しており、またその果てしない広がりに心動かされながらデュシャンとの超時空的な対話を試みているといえるでしょう。

 


牧 正大

sns_審査員_07.牧 正大.png【総評】

第三回目となる今回も、アーティスト、ギャラリスト、コレクターやキュレーターなどバラエティに富んだ審査員が名を連ね、多種多様な表現で応募された作品をそれぞれの視点から評価します。
WATAOWA ART AWARDの一番の魅力はそこにあると思います。

毎年さまざまな技法やコンセプトを用いた作品が応募されるが、今回も同様に良い意味でまとまりのない作品たちをお迎えいたしました。

前回、突出した作品がなく残念ながらグランプリは出ませんでした。個人的には今回の全体的な印象も同じで強く惹かれる作品は個人賞に選んだ亀川さんの作品以外ありませんでした。

ギャラリストという立場から、どうしても基礎知識やプロフェッショナルな下地処理技術や創作の時間軸、最終的な完成度を審査するため、なかなかそのレベルを感じられる作品が少なかったように思います。

デジタルデータや写真が誰にでも扱える身近な存在となり、それに伴いPCでの作業を中心とした作品制作が主となりつつあるのも否定できないですが、まだそれをアートとして落とし込めていない作品が多い印象です。
ここから色々な技術の進歩によってより一層多様化するメディウムがアート界を賑わすことが想像できますが、それをアートにどう取り入れ「作品」と呼べる隙のない表現を出来るかが課題となってくると思います。

今回の出品者たちの作品も面白く可能性を感じるものも多かったですが、より完成度と表現力の高い作家、作品に成長してくれることを願います。

次回のWATOWA ART AWARDにも期待したいと思います。

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【個人賞】

亀川 果野

"風景を分かる"

今回、一次審査の百数十点の中からも亀川さんの作品「風景をわかる」を選ばせていただきました。
文字に対する解釈なども明確で理にかなったコンセプトにも共感しましたが、海外にはない日本人が古くから使用してきた多様なジャンルをもつ文字(ひらがな、カタカナ、漢字、アルファベット)をドローイング的な形、線で形成しつつ、絵画としての品格を兼ね備えて作品を成立させています。

一次審査の書類、画像では伝わってこなかったですが、二次審査で実作を観たときに衝撃を受けました。薄いベールに何層も重ねるような各レイヤーの美しさと繊細さ。胡粉など日本画古来の素材を有意義に使用した奥行は、作品と向き合うと同時に永遠の距離間をも感じさせます。そのレイヤーにそれぞれの色、コントラストで踊る線たち一つ一つの美しさ、コンポジション、アートとしてのクオリティの高さは群を抜いています。

日本人だからこそ扱える胡粉や和紙、世界から見たときのオリジナリティも彼女の作品の魅力の一つになっています。

本作以外の作品も画像で拝見いたしましたが、基礎作業の質の高さ、表現力の美しさ、色彩感覚も併せ持ち、今後の活躍には期待しかありません。

 


河西 香奈

sns_審査員_13.河西香奈.png【総評】

多様な作品を楽しませていただいた。そして多様な技法・素材の作品に総評を寄せることはとても難しいが、写真を取り入れた作品が思っていたより多かったことが興味深く、イメージに囲まれた時代であることに思いを巡らされた。印象に残った作品としては、平子暖の《days-日ごとに2色を交互に使用する》は、時間と思考とある種の偶然性を織り込んだ丁寧な作品で美しくとても良かった一方で、どことなく既視感が拭えないところが惜しかった。サカイケイタ×芦藻 彬の《Composition of colors-SCISSIONE/分裂》は、日本が編み出した漫画という手法/ジャンルを現代アートのフィールドに転用し、読むと見るの中間の新たな鑑賞体験をつくりだしているところが非常に興味深く、面白かった。今後の取り組みにも期待したい。

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【個人賞】

亀川 果野

"風景を分かる"

亀川果野の《風景を分かる》は、絵画にまだみたことのない地平はあったのか、と唸らされた。全体のバランスの絶妙な心地よさ、ひらがなに読めてしまいそうで読むではない独特の奥行きを持った美しい曲線たちには、みればみるほど魅了される力があった。


家入 一真

sns_審査員_08.家入 一真.png【総評】

今年は小ぶりの作品やプリント物が目立ったように感じます。プリント自体が悪いわけではありませんが、プリント特有の表現を存分に活かした作品は見受けられませんでした。毎年、画像審査を経て実物を見る際、画像では伝わらない魅力を発見したりと良い意味で裏切られることが多いのですが、今年はそのような作品に出会うことはありませんでした。それでも、今後の活躍が期待される作家が何人かいたため、今後の展開が楽しみです。

Richman01 - Finian R (1).jpeg【個人賞】

Finian Richman
"追憶の面"

一度立体を製作した上でそれを描いた平面作品。ある意味、立体と平面の境界線を曖昧にするその手法、また、描かれるどこかアニメのキャラクターのような雰囲気、憂鬱や不安・絶望・怒りを感じさせるその表情は、彼の出自によるアイデンティティの揺らぎを感じさせる。ぜひ立体や、より大きな作品も観てみたい。これからの活動に期待しています。

 


大城 崇聡

sns_審査員_09.大城 崇聡.png【総評】

非常に力の入った作品がそろったコンペティションでした。作品群を見ていると、普段コレクターのコレクションを管理するという立場であるが故に、マーケットの動きが見えすぎて、見えなくなってしまったものに気付かされたありがたい機会でもありました。
私がアートをコレクションするのに何よりも大切にしていることは、飾ってその作品を見て楽しみたいと思えることです。他にもたくさんの要素があるとは思いますが、ここがないとコレクションする理由がありません。
アートをコレクションし続けるコレクターの1人として、その視点から、純粋に欲しい、このアーティストの次の作品を見たいと思うものを選ばせていただきました。
また作品が、業界で活躍されている素晴らしい審査員のみなさんの目に触れたこともアーティストにとっては大きなチャンスだとも思います。このチャンスをぜひ活かして欲しいです。
最後に、バラエティ豊かな審査員の中で、日本においてアーティストと世界を繋げる架け橋となり、また、新たなアートの可能性、広がりを見つけていくという素晴らしいコンペティションで審査をさせていただいたことはとても特別な経験でした。ありがとうございました。

IMG_0540 - 髙橋侑子 (1).jpg【個人賞】

髙橋 侑子
"女子会のリズム"

正直、髙橋さんをWATOWA ART AWARDで初めて知りました。
1次審査で作品の画像データを見た瞬間に気になってポートフォリオを食い入るように見ました。
風景の切り取り方と、色の使い方がとても好みで、これは2次審査に進んで欲しいなーと思っていました。
めでたく2次審査で実物を見れた時、これは家に飾って毎日楽しみたいなーと、、。
個人賞の大きな決定打はケーキが美味しそうだったことです。
テーブルをメインに切り取られ、まだ手付かずのケーキが女子会のリズムを物語っている楽しい作品だなと思いました。
ブラウスのボタンや、ケーキのホイップなど、実物を見ないとわからない表現も素敵でした。
是非コレクションさせていただきたいです。

 


高橋 隆史

sns_審査員_10.高橋 隆史.png【総評】

アートコレクターの立場で、審査員を務めるようになって今年が3年目となる。第一回目の際に、非常に間口の広いコンペであったために多様な作品が集まり、「これは、収拾がつくのだろうか?」と不安になったことを懐かしく思うが、今では、まだギャラリーやフェアではなかなか巡り会うことの出来ない新しい才能に出会えるこの場を楽しみにするようになっている。
今年も例年以上に多様で、力の入った作品が集まり一人のアートラバーとしては大変楽しませてもらったが、結果としては、多様な立場の審査員の意見がまとまりきらず、グランプリの選考は大変に難航をした。良い意味で賞の性格・方向性を固めすぎず、広く新しい才能のための登竜門たろうと目指す、まだ新しいこのアワードの難しい面が出た回になったように思う。ただ、新しい才能の発見の場としての審査プロセスは健在であり、審査員達がそれぞれが見つけた才能のアピールの応酬を見ていると、この場で新しい出会いと機会が確実に生まれていて、年々、本アワードの重要性と存在意義が向上していることを実感する。

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【個人賞】


西村 大樹
"Neo-Kuraokami : D - Y1"

西村大樹さんの本作品は、今回の出展作品の中では小さな部類であったが、その高いクオリティと密度で存在感を発揮し、審査中、最後まで私の意識を惹きつけ続けたため、非常に自然に個人賞を決めることができた。人による環境破壊の結果、すべての雨水は飲料に適さないという重い事実と、さりながらも、現象としての依然として水が生み出す厳然とした美しさ。作家はこの二つをこの小品の中で巧みに統合することに成功しており、それが、ただ美しいだけで終わらない独特の「重たさ」を生み出している。解決が容易ではない環境問題から逃げず、しかし希望を失わない姿勢に深い感動を覚える。


寺内 俊博 

sns_審査員_11.寺内 俊博.png【総評】

先ず、第1回、第2回に比べてサイズ的なものを含めて、こじんまりとした作品が多かった印象を受けました。

ポストコロナの時代、日本のみならず世界中であらゆる矛盾が露呈しているこの状況を題材にした作品が少なかったのも残念でした。

ただペインティング以外、ミクストメディアな作品が増えたのはアートの多様性を感じられてよかったと思いました。

このWATOWA AWARDは、他のAWARDに比べて門戸も広く、多様な審査員が揃っており、AWARD後の支援をしてくれる方も多いので今後もたくさんの応援者が、何かをつかむきっかけとなっていってくれたら嬉しいですね。
DSC07450-01 - 高橋周平.jpeg

【個人賞】

高橋 周平
"Why am I burning?"

作品の完成度などでは準グランプリのfragileさんや亀川果野さんには遠く及ばなかったものの、ある意味粗野とも言える作品のなかに自分が感じるところがあり、個人賞としては高橋周平さんを推挙いたしました。

高橋さんの色彩感覚と描き方にオリジナリティがあり、作品そのもののインパクト、そこから見る物を引き込む力がありました。

コンセプトはシンプルですが、むしろそのシンプルさがこの作品のプリミティブな部分を支えたとも言えると思います。

前回の山崎雅未さん同様に私の立場として、関わってみたいアーティストです。

 


小松 隆宏

sns_審査員_12.小松 隆宏.png【総評】

第3回目となるWATOWA ART AWARDでは、審査員の幅もさらに広がり建築家 永山 祐子さん、ギャラリスト 河西香奈さん、ライゾマティクス 真鍋大度さん、アーティスト 高橋理子さん、アートコレクター 大城崇聡さんが新メンバーとして加わり行われた。

応募作品もミクストメディアや写真表現、平面立体などペイント以外の作品も多く集まりパンデミック以降の影響なのか、日本在住の海外の作家も増えた。
新しく様々な手法を試してると感じるものと、それとは裏腹に、コンセプトとアウトプットがチグハグだったり、せっかく面白いアイデアなのに、インパクトに欠ける小さい作品も多く目立った。
提出最大サイズを設けているため、その中に入れば良いのだが、コンペティションである以上、目立つ必要がある。他よりも表現力、アイデア、コンセプトはもちろんだが、プレゼンテーションと説得力、技術力も必要で、大きいサイズはそれらを表現するのにとても効果がある。
それらが足りないことによって、いまいち「これだ!!」っという、圧倒的なインパクトを出した参加者はいないように思う。
その中でも、審査員それぞれが、各作品の面白いポイントはどこか?どこがよくないのか?など、議論に議論を重ねプライズが決定した。
残念ながら、今年もグランプリに匹敵するアーティストは選出することはできなかった。

その中においても甲乙つけ難い、異なる表現をみせる準グランプリを3組を出す結果となった。
是非、ファイナリストに選ばれたアーティストたちと、異なる審査員の視点から選ばれた準グランプリ、奨励賞、個人賞の作品をご覧いただきたい。
そして、"この世代から始まるカルチャーを。"に賛同いただいた応募アーティスト、審査員の皆さんに深くお礼申し上げます。

watowaartaward 2023 作品写真-1 - みのたか (1).jpg【個人賞】

ミノワ タカハル 
"The Tile"

平面作品のアワードとして開催してる中で、平面表現として陶器を出してきてるのは多くない。
日本独特のセラミックプロダクトに釉薬という一手間を加えることで新たな価値を生み出すという手法はよく使われる手法であるが、昨今の大量生産大量消費に疑問を持つ1人の職人としての問いがここにあることが可能性を感じた。
リサイクル文脈、スクラップアートは人類永遠のテーマなので、一過性の作品ではなく、作家性として継続して、今後もより良い作品作りに力を注いでほしい。


 

DETAIL

「WATOWA ART AWARD 2023 EXHIBITION」
■会期:12月17日(日)〜2024年1月28日(日)
■開館時間:12:00~19:00
※年末年始:2023年12月25日-2024年1月5日&平日を除く土日祝のみオープン

■会場:WATOWA GALLERY / THE BOX TOKYO
〒111-0024 東京都台東区今戶1丁目2-10 3F

■入場料(ドネーションチケット) :500円(税込)〜

※入場料は、WATOWA GALLERYの若手アーティスト支援活動、
WATOWA ART AWARDに寄付されます。

December 13, 2023

WATOWA ART AWARD 2023 EXHIBITION 開催 -37名のファイナリスト発表! "この世代からはじまるカルチャーを" をコンセプトに20-45歳までのアーティストが集結 -

この度、アートプロジェクト集団 WATOWA GALLERYは、2023年12月17日(日)〜2024年1月28日(日)の期間中 ※年末年始を除く土日祝のみオープン
WATOWA GALLERY / THE BOX TOKYO (東京都台東区今戸1丁目2-10 3F)にて『
WATOWA ART AWARD 2023 EXIHIBITIONを開催いたします。
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DESCRIPTION

未来を担う新しい才能の発見を目的とする WATOWA ART AWARD では、20 ~ 45歳と幅広い年代のアーティストを対象とすることで、 次世代の若い才能はもちろん、これまで活動の場が限られてきた中堅作家にもスポットを当て、作品発表の機会を創出することを目標としています

アート教育を担う有識者、国内外で活躍するアーティスト、インキュベーションを行うキュレーターやアートコレクターなど、アートアワードとしては 異例の、年代もジャンルも異なる14名もの審査員を迎えました。異なる視点からの審査作品へのフィードバックを行うなど、受賞者との積極的なコミュニケーションを図ることで今後の活動を支援します。

3回目となる今回も昨年と同様に作品画像資料による一次審査、作品実物による二次審査を経て、12月17日(日)〜1月28日(日)の期間中 (※年末年始を除く土日祝のみオープン)に開催する「WATOWA ART AWARD 2023 EXHIBITION」にて、ファイナリスト作品の展示とともに受賞作品を発表します。 グランプリには WATOWA GALLERY プロデュースによるソロエキシビジョン開催権とソロエキシビジョンに向けた制作協力金 50 万円を提供します。準グランプリにはグループエキシビジョンへの 参加権を授与します。審査員賞では各 ジャンルにおいて活躍する審査員毎に様々なサポートを用意いたします。

WATOWA GALLERY は、これまで数多くのエキシビジョン、プロジェクトのプロデュースを行い、アート・コミュニケーションの場を提供して参りました。独自の感性で演出する展示空間により、業界や年代を超えた多くの方に、カルチャーとしてのアートを楽しんでいただいております。若手作家を支援する第一歩として、来場者の皆さまに500円からのドネーション制の入場料を設けることで、アートシーンへの理解と親近性を深める取組みを行っております。(*本アワードは、これまでに集まった寄付により運営、開催いたします。) 

WATOWA ART AWARD では、これらの活動を拡大するため、より多くのアーティストに発表の場を提供し、世界での活躍に向けた実戦的で継続的な支援を行って参ります。 国内アート市場の活性化を目指す WATOWA GALLERY のアートアワードに、ぜひご注目ください。

 

 

 MESSAGE

第3回目となるWATOWA ART AWARDでは、審査員の幅もさらに広がり建築家 永山 祐子さん、ギャラリスト 河西香奈さん、ライゾマティクス 真鍋大度さん、アーティスト 高橋理子さん、アートコレクター 大城崇聡さんが新メンバーとして加わり行われた。


応募作品もミクストメディアや写真表現、平面立体などペイント以外の作品も多く集まりパンデミック以降の影響なのか、日本在住の海外の作家も増えた。

しく様々な手法を試してると感じるものと、それとは裏腹に、コンセプトとアウトプットがチグハグだったり、せっかく面白いアイデアなのに、インパクトに欠ける小さい作品も多く目立った。

提出最大サイズを設けているため、その中に入れば良いのだが、コンペティションである以上、目立つ必要がある。他よりも表現力、アイデア、コンセプトはもちろんだが、プレゼンテーションと説得力、技術力も必要で、大きいサイズはそれらを表現するのにとても効果がある。
それらが足りないことによって、いまいち「これだ!!」っという、圧倒的なインパクトを出した参加者はいないように思う。

その中で、審査員それぞれが、各作品の面白いポイントはどこかどこがよくないのか?など、議論に議論を重ねプライズが決定した。

残念ながら、今年もグランプリに匹敵するアーティストは選出することはできなかった。


その中においても甲乙つけ難い、異なる表現をみせる準グランプリを3組を出す結果となった。

是非、ファイナリストに選ばれたアーティストたちと、異なる審査員の視点から選ばれた準グランプリ、奨励賞、個人賞の作品をご覧いただきたい。

そして、"この世代から始まるカルチャーを。"に賛同いただいた応募アーティスト、審査員の皆さんに深くお礼申し上げます。

 

WATOWA GALLERY / WATOWA INC. 代表  小松隆宏


DETAIL
タイトル:WATOWA ART AWARD 2023 EXHIBITION
会期:2023年12月17日(日)〜2024年1月28日(日) 12:00~19:00  ※年末年始を除く土日祝のみオープン

会場:WATOWA GALLERY / THE BOX TOKYO 東京都台東区今戸1丁目2-10 3F

入場(ドネーションチケット) : 500円(税込)〜
*自身で金額を決定するドネーションシステム(ミニマム 500 円から入場料を自身で決定し、それが若手アーティスト支援のためのド ネーションとなるシステム。アーティスト支援と国内アートシーンの活性化を目的としたアートアワード WATOWA ART AWARD 2023 EXHIBITION に 寄付されます。

Instagram:@watowagallery
CONTACT: gallery@watowa.jp


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JURIES

鬼頭 健吾 (アーティスト/京都芸術大学大学院教授)
ヒロ 杉山 (アーティスト / WAVE プロデューサー /ENLIGHTMENT 代表)
薄久保 香 (画家/アーティスト/東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻准教授)
高橋 理子 (アーティスト/博士/武蔵野美術大学教授)
真鍋 大度 (アーティスト/プログラマ/DJ)
永山 祐子 (永山祐子建築設計 主宰)
沓名 美和 (現代美術史家/キュレーター/ディレクター)
牧 正大 (MAKI Gallery オーナー)
河西 香奈 (KANA KAWANISHI GALLERY代表)
家入 一真 (株式会社CAMPFIRE 代表/起業家)
大城 崇聡 (株式会社between the arts CEO / 一般社団法人日本アートテック協会 代表理事)
高橋 隆史 (株式会社ブレインバッド 代表)
寺内 俊博 (西武・そごうアートディレクター)
小松 隆宏(アートプロジェクト・プロデューサー / WATOWA INC. 代表 / WATOWA GALLERY 代表・プロデューサー / 演出家) 


*14 名 / 順不同 *審査員氏名(肩書き)
*審査員ポートレートは、左上から上記リスト記載順 


FINALISTS

Albert Sy/Andrew Weir/伊藤 夏葉/Embeli Lea/尾花 智子/勝倉 大和/亀川 果野/Ken/KENTA TODA/サカイ ケイタ×芦藻 彬/佐藤 瞳/島内 秀幸/上樂 博之/関口 潮/高野 勇二/高橋 周平/髙橋 侑子/タナカ アラシ/タブチ トヨアキ/tsumichara/唐來 夏帆/中村 美津穂/西村 大樹/西村 祐美/春田 紗良/平子 暖/Finian Richman/FRAGILE/Pepito Matta/Masaki Hagino/ミノワ タカハル/MIRANDA YOKOTA/森島 善則/森田 夏鈴/山田 慧/yoko ichimura/吉高 ゆうき

*37名 / 順不同

 

November 21, 2023

榎本マリコによる展示 "Melancholia"(メランコリア)を12月2日(土)より開催

この度、アートプロデュース・コレクティブWATOWA GALLERYは、所属作家 榎本マリコの個展" melancholia"(メランコリア)を2021年「もりのなか」以来2年ぶりに開催いたします。会場にて、11月25日発売の榎本マリコ初めての作品集「空と花とメランコリー」の販売を行うほか、出版を記念し、作品集の購入者には抽選で、初のプリント作品となる、ジークレー版(ネオシルクプリント技法)の数量限定販売を予定しています。
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Statement


榎本マリコが歩むイマジネーションの彼方とは

"絵画でしか表現できない、想像力を試されるような世界観に挑みたいと思う"

―榎本マリコ(2023年 9月 13日インタビューより)

顔を隠された女性、動物や植物と融合した身体、宙に浮くふたつの目といったポエティックなイメージの数々は、偶然性や無意識のなかで発現する超現実の表現を模索したシュルレアリスムの画家たちを想起させる。こうしたイメージの既視感を理由に榎本マリコを現代のシュルレアリストと評することは容易いが、果たしてそれは真実だろうか。

榎本の絵画にはしばしば、花で顔の一部を隠された女性が登場する。マグリットの《世界大戦》(1964年)や《人の子》(1964年)を連想させるが、彼女はそれらの作品はもとよりシュルレアリスムという文脈自体を意識したことがないという。榎本のキャリアはファッション業界から始まり、スタイリストのアシスタントとして働いたのち、22歳で絵画の世界に飛び込んだ。独学で絵を学び、イラストレーターを経てアーティストとしての道を歩むに至った彼女にとって美大中心のアカデミックな約束事や、イズムと文脈によって構築された美術史は縁遠いものであったに違いない。

作品の根底にあるのは、とりとめのない日常の中で出会う尊い瞬間への憧憬だ。私達の日常のほとんどは平凡な時間の繰り返しであり、同時に小さな苦しみの連続であるのだが、時折、詩や物語に心が震えることや、あどけないわが子の所作に聖なる存在を感じるような奇跡的な瞬間がある。榎本はそうした何気ない瞬間や、記憶の彼方に置き去りにされた感情を絵画として残したいのだという。日常に紛れ込んだ奇跡や神秘を榎本は巧みに拾い上げ、現実ではありえないイマジネーションの世界に描いてみせるのだ。

マグリットはパイプの絵に「これはパイプではない」という言葉を記すことで、ものに与えられたイメージを裏切って見せたが、榎本の絵画にもイメージに課せられた呪いを解く力がある。たとえば、顔という個人を象徴するパーツを隠す表現は、見方によっては個性を封じ込める暴力性や抑圧からの解放を促すメッセージのようにも解釈できるが、榎本は「隠す」という行為によってその裏側にあるものを自由に想像させる。シュールなモチーフの組み合わせも、現実や常識という不自由から私たちの感性を解き放ってくれる。

人の頭と白鳥の身体が融合したモチーフを榎本は「自分のなかにいる神様のような存在」として描いたが、同時に誰かにとっては別の何かに見えるかもしれない。もしかすると恐ろしい何か、悲しい何かを想起させるかもしれない。榎本は、ともすれば個人的なエピソードにとどまってしまう日常の断片を、誰もがイマジネーションを喚起される空想的な絵画世界に昇華することで、見る者に多様なインスピレーションを与える装置に変えてしまう。

もしかしたら彼女は、かつてシュルレアリストたちがコンセプチュアルアートとして目指した地平に、まったく異なる道のりを歩いて辿り着いてしまったのかもしれない。

(現代美術史家) 沓名美和

Detail


Mariko Enomoto Solo exhibition "Melancholia" (メランコリア)

【会期】:2023年12月2日(土) ~ 12月17日(日) 12:00~20:00 ※月火定休

【会場】:elephant studio 1F/2F(東京都渋谷区渋谷2-7-4)

【入場料】:ドネーションチケット 500円(税込)〜

※12/3(日)、12/10(日)、12/17(日)は観覧無料

※自身で金額を決定するドネーションシステム(ミニマム 500 円から入場料を自身で決定し、それが若手アーティスト支援のためのドネーションとなるシステム。アーティスト支援と国内アートシーンの活性化を目的としたアートアワード WATOWA ART AWARD 2023 EXHIBITION に寄付されます。

※作品の売買は希望者を承りながら厳正に行い、先着順ではございません。開場前から入り口に並ぶなどの近隣の迷惑となるような行為は禁止とさせていただきます。

レセプションパーティー

【日時】:12月2日(土)18:00〜21:00 / 入場無料、予約不要。

 

 

Message from WATOWA GALLERY


"ジャパン・シュールレアリズム"の最前線

榎本マリコは現代の日本において、シュールレアリズムとフェミニズムの感覚を同時にまとう稀有な

アーティストだ。榎本の作品からは西洋宗教(絶対神&ファンタジー )と日本宗教(八百万の神&アニミズ

ム)の両方の要素を感じる。

私が立ち上げたWATOWA GALLERYは"この世代から始まるカルチャー"をスローガンに、さまざまなアートプロジェクトを仕掛けたり、若手アーティストのサポートやプロデュースをしている。我々の世代で生まれている作品は、すべてが歴史とも世界とも繋がっており、日本独自に成長したものである。そこには文脈のないものなんてない。 "SUPER TRAD"なる日本の伝統ストリートをリバイバルするムーブメントや、GUTAIやもの派のような日本独自のミニマル・コンセプチュアルの現在、戦後におけるファッション&グラフィックアウトサイダーと欧米との繋がりなど、今の世代を30年ぐらいの時間軸で見たときに生み出せる仮説によってプロジェクトをつくっている。その中のひとつが"ジャパン・シュールレアリズム"だ。

パリで起こったダダイズムに対して、ニューヨーク・ダダ、ベルリン・ダダ、チューリッヒ・ダダ、ケルン・ダダがあるように、シュールレアリズムにも地域ごとの特徴がある。日本におけるシュールレアリズムは、もちろんマグリットやダリなどから影響を受けているが、そもそもシュールレアリズム的な空想や夢の世界の要素は、普遍的な発想として人間が常に持ち合わせているものである。特に日本の絵画においては、神道や妖怪、アニメーションなどの土壌があって長らく育まれていた。それは、シュールレアリズムが生まれる前も後も、ずっと日本に潜在していたといえるのではないか。

そして、榎本はファッションを学ぶことで得た自由な感覚で、日常の中で生まれる不安定な妄想から取り出した花や動物、風景などを、スタイリングするかのように組み合わせていく。そこには現代の日本で生まれ育った、女性ならではのメランコリーを感じずにいられない。つまり、榎本はフェミニズム的な視点を備えることで、長い時を経て育まれてきたジャパン・シュールレアリズムの最前線に位置するひとりになった。

そしてもうひとつの文脈は、ファッションも歴史であり、アカデミックであり、文化のど真ん中にあるということである。アート史を勉強しなかった者をアウトサイダーという定義があるが、ファッションは文化人類学や社会学の領域にも含まれるものなので、そこから影響を受けた者は、まさに時代の流れを受けて作品を生み出すれっきとしたアーティストということだ。

時代の憂鬱さや希望すらも感じさせる榎本マリコの作品は、今や文筆家や編集者たちを魅了している。文学作品を強く印象づけるための装幀画のオファーが絶えないのだ。それは時代を捉えていながら、言葉だけでは到底たどり着けない情報を、彼女の作品が秘められているからだろう。そんな榎本が日本の画家として世界にどう影響を与えるのか、共に見てゆきたい。

WATOWA GALLERY 小松隆宏

 

 

Artists profile


EMprofile2023.jpg1982年生まれ、東京都在住。日本画家であった曽祖父の影響もあり、幼い頃から自然と絵のある環境で育つ。ファッションを学んだのち独学で絵を描き始める。書籍の装画や映画、演劇のビジュアル制作等手がける。近年ではイラストレーションの領域を越え、油彩で描かれたポートレート作品を中心に作品を発表している。

2019 個展 "Flowery Ghost" (AL : 東京)、個展 "真夜中に虹を見た" (梅田蔦屋書店 : 大阪)

2021 個展 "モーメント" (OIL by 美術手帖 : 東京)、個展 "もりのなか" (WATOWA gallery : 東京)

2022 個展 "わたしの庭" (日本橋三越美術サロン : 東京)

2023 グループ展 "Depth of Dreams - 夢・時間・記憶" (WATOWA gallery / THE BOXTOKYO)、グループ展 "完璧な経験 / 想像の夢想 - 3人のアーティストによる視点 "(MJK Gallery)

August 30, 2023

上田尚宏個展「それはこれ、」が WATOWA GALLERY にて9月10日より開催

この度、アートプロジェクト・コレクティブ WATOWA GALLERY は、新たな「物質と人間」の表現を提示する、新進作家・上田尚宏の個展「それはこれ、」を2023年9月10日(日)から9月19日(火)まで開催いたします。

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主催者より


上田尚宏は、東京藝術大学大学院で高山登氏に師事しました。大学院修了後、2011年に渡独。日本のもの派や近現代のドイツミニマリズムに大きな影響を受けています。彼は主に時間や空間、物理的な環境変化についての考察から現代社会の課題を提起し、領域横断を意識した制作活動を実践してきました。本展覧会では、2019年に帰国した後の初の個展として、これまでの日本とヨーロッパでの制作活動が凝縮された新作の一部をご覧いただけます。

本展「それはこれ、」は、物質自体の本質的な自己否定、または物質がメディアとして環境との相互作用を示すアンチ・テーゼを明示しています。言い換えれば、観察者と周囲の環境との相互作用によって流動する「人間と物質」という関係性が、むしろそれぞれの個々の自己否定を浮き彫りにしています。こうした視点から、「それはこれ」が「これはそれ」となり得るのか、という問いも投げかけられます。
上田の創作は、もの派とミニマリズムを融合させ、一貫性を保ちながら新たな表現を生み出しています。彼によると、物質の本質的な追求は、ある意味で物質とその環境との限界的な関係性を映し出す表現であると言えます。

現在、情報化をもたらす非物質空間の肥大によって、我々がどのように「ミクロ」から「マクロ」までの物質を捉えるべきか、依然として未解決の課題となっています。本展では、現代の錬金術師である上田尚宏が、新たな物質と環境の関係性をもたらす魔法の扉を開いてくれます。


作家プロフィール


上田尚宏_作家写真.jpg 上田 尚宏|Takahiro Ueda

2010年、東京藝術大学先端芸術表現修了。2011年より文化庁新進芸術家海外研修制度、吉野石膏美術振興財団、DAAD(ドイツ学術交流会)からの助成を受け渡独。2019年に帰国後は東京を拠点に活動している。 主な展覧会に、The Still Point -まわる世界の静止点(kudan house, 東京, 2021)、SCAI 30th Anniversary Exhibition 「アースライト―SFによる抽象の試み」(駒込倉庫, 東京, 2019)、Temporal Measures(white rainbow, ロンドン, 2014)、Land Politics (Valletta Contemporary, マルタ, 2019)、Betwixt and Between(Galerie Tore Suessbier, ベルリン, 2013)、第14回岡本太郎現代芸術賞(川崎市岡本太郎美術館, 神奈川, 2011)など。

HP: https://takahiroueda.com

IG: https://www.instagram.com/tkhrd__/ (@ tkhrd__)

(Photo by Shingo Kanagawa)


作家ステートメント


ぼんやり眺めていると微妙な違いが浮かび上がって見えてくる、
もしくは最初から違いがはっきりと一瞥できる。
私たちの網膜は微細な違いを感受できるほど、精度が高い。
しかし精密に同じ設計を施されたロボットではないので、
目に映る景色は、実に人の数だけ存在する。
そう考えると、私の目が捉えるこの"違い"は、
本当に"違い"としてあるのだろうか。
誰かにとっては"同じ"になり得てしまうのだろうか。
網膜が受け取るビジョンを厳密に他者と共有するための方法を、
私たちは知らない。

製造や流通の問題により差が生じているにも関わらず、
便宜上、同じ名前が付けられた工業製品を並べてみる。
隣り合うそれらを「違う」と言えばいいのか、
はたまた「同じ」と言えばいいのか。
もうこうなれば、それはこれ、これはそれ。

上田 尚宏


開催概要


タイトル:「それはこれ、」
会  期:2023年9月10日(日)~ 9月19日(火)12:00 - 19:00
     ※ 9月13日(水)、 9月14日(木)定休日
主  催:WATOWA GALLERY
会  場:elephant STUDIO (東京都渋谷区渋谷2-7-4 1F) 
入  場:無料
イベントページ:http://www.watowa.jp/news/2023/08/Is-this-it?.html
HP:http://watowagallery.com
Instagram:@watowagallery
CONTACT: gallery@watowa.jp (メールのみ)

WATOWA ART AWARD 2023 追加審査員2名を発表!

審査員には先行して発表された12名に加え、KANA KAWANISHI Gallery 河西 香奈、アーティスト 高橋 理子 が決定しました。


審査員 13
河西 香奈

KANA KAWANISHI GALLERY代表

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■ Profile
幼少期をロンドンで過ごした後、フォーダム大学(NY)へ学部交換留学、日本女子大学家政学部被服学科西洋服飾史研究室卒業。
2006年より洋書編集に携わり、近年担当した書籍に「ANREALAGE: A&Z」(2021年秋・Rizzoli刊) など。
アーティストマネジメント/編集事務所、展覧会企画財団を経て、2014年にKANA KAWANISHI ART OFFICE設立、2015年にKANA KAWANISHI GALLERY設立。
2022年より日比谷OKUROJIアートフェア/フォトフェアのオーガナイザーを務める。
Artnet(米国)より「7 power players transforming tokyo art market」に選出される(2022年)。

IG:
@kanakawanishigallery
@kanakawanishi


審査員 14
高橋 理子

アーティスト /博士 /武蔵野美術大学教授

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■ Profile
東京藝術大学で染織を中心に伝統工芸を学ぶ。2006年、株式会社ヒロコレッジ(現・ 高橋理子株式会社)設立。 2008年、東京藝術大学大学院博士後期課程を修了し、博士号(美術)を取得。着物を表現媒体としたアートワ ークのほか、自身のブランドHIROCOLEDGEで日本各地の職人とものづくりを行う。九重部屋や黄金湯などのブランディング、adidasとのグローバルコラボレーション、 東京五輪ゴルフ米国代表公式ユニフォームなど、国内外のプロジェクトも数多く手がける。2024年4月には、イケアとのグローバルコラボレーションローンチが控える。2019年、ロンドンのヴィクトリア&アルバート博物館に作品が永久収蔵。2021年、武蔵野美術大学造形学部工芸工業デザイン学科教授就任。

IG:
@takahashihirokoofficial


下記より詳細をご確認の上、ふるってご応募ください。多くの方のご参加をお待ちしております。

↓↓↓↓

http://www.watowa.jp/news/2023/02/watowa-art-award-2023.html

August 3, 2023

KASEKI POP 2023〜SUMMER TIME〜 / TOKYO POP by KASEKI CIDER

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この度 WATOWA GALLERY は、作家かせきさいだぁによる個展KASEKI POP 2023〜SUMMER TIME〜並びに、グループ展TOKYO POP by KASEKI CIDERを、elephant STUDIOにて2023年8月19日(土)から9月3日(日)まで開催いたします。

Statement


かせきさいだぁのポップアート

― 作品に耳を澄ませれば、時代の音が聞こえてくるる                         

かせきさいだぁは日本を代表するヒップホップアーティストであり、あるときは漫画家、文筆家、そして現代アーティストといくつもの多彩な顔を持つ。彼の描く作品は、すっきりと無駄のない構図や透明感のある素直な色調が印象的で、まるで軽快なシティポップを聴いているような心地よさがある。

代表的な名画シリーズでは、モナリザやゴッホのひまわり、モネの水連といった誰もが知る名画を、かせきさいだぁらしいミニマルで可愛らしい姿に描き直している。かせきさいだぁ流に言えば "名画のサンプリング" だ。既存の音源の一部を引用して再構築するヒップホップにおけるサンプリングと、名画を記号的に引用する表現手法には通じるものがある。そこには名画へのリスペクトや親しみ、愛着があり、そうした気持ちを他者と分け合いたいという高い共感性がある。好きなものを友達とシェアしたいという気持ちや、現実世界の煩雑さに抵抗するように軽さや明るさや可愛らしさを求める今の時代のムードは、かせきさいだぁの世界観と驚くほどマッチしている。コンセプトの壁を超えるためにインテリジェンスで武装しないと到達できないのがいわゆる現代アートの姿だとするなら、かせきさいだぁのアートは誰にとっても親しみやすく居心地がいい。誰も撥ねつけない大らかな作風は、いつまでも眺めていたくなる幸福感に繋がっている。

しかし、彼の持ち味はそうしたポップさや親しみやすさだけではない。一見、CGのように滑らかで正確無比に見える作品を間近で見ると、手描き独特の線のゆがみや色の塗り重ねの跡があり、彼が正真正銘の絵描きなのだということがよくわかる。手で描くことでしか成しえない人間的なゆらぎは、モチーフに生命力を与え、作品に時間の流れを生む。そうして堆積していった膨大な情報量はある種の難しさでもあるのだが、「人間は情報量の多さこそを面白さと捉える」ということをかせきさいだぁは熟知している。

ミュージシャンとして活動するより以前、彼はゲーム会社のグラフィック担当として、ゲームのキャラクターや背景を制作していたのだという。フェルメールの《真珠の耳飾りの少女》の瞳がパックマンを象った作品があるが、ゲームクリエーターのキャリアが分かるとその遊び心にも納得だ。使える色数も少ない黎明期のゲームグラフィックの世界にいたからこそ、手描きの良さや画面に込められた情報量が人間に与える影響を深く理解している。長く画面を見続けたいという欲求は、人間が対象を面白いと感じる感覚とリンクしているのだから。分かりやすさと複雑さの絶妙なバランスこそが、見る者の心をひきつけてやまないかせきさいだぁの作品の魅力になっている。

沓名美和

Artists profile


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かせきさいだぁ

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1995年、1st アルバム『かせきさいだぁ』でデビュー。現在までオリジナル・アルバムを6枚リリース 。ポップ・ミュージックの歌詞を引用したラップで注目を集め、今日では日本のヒップホップ界で強い影響力のあるミュージシャンの一人として知られているミュージシャン、ラッパーとして活動する一方、イラストレーター・漫画家・文筆家・作詞家とジャンルを問わず幅広く活躍するその姿はまさにヒップホップ・ アーティスト。アクリルやマーカーを用い 、シルバーの背景、ポップな作風が徴の作品を手がけている。絵画作品では、歴史的名作をオマージュした「名画シリーズ」が近年注目を集めている。

2021年よりWATOWA GALLERYの所属作家としてARTIST活動を精力的に開始し、同年9月には初めての大規模な個展「かせき POP!」を開催し話題になる。

 

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ⓒガジェット通信

望月ミネタロウ

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神奈川県横浜生まれ。'84年講談社ちばてつや賞優秀新人賞を受賞し、'85年「ヤングマガジン」で『バタアシ金魚』で連載デビュー。主な作品に『バイクメ~ン』『お茶の間』『座敷女』『鮫肌男と桃尻女』『ドラゴンヘッド』『万祝』『東京怪童』『ちいさこべえ』『犬ヶ島』『没有漫画、没有人生』などがある。

『ドラゴンヘッド』で第21回(1997年)講談社漫画賞、第4回(2000年)手塚治虫文化賞マンガ優秀賞受賞。『ちいさこべえ』で第17回(2013年) 文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞受賞、France BD Critics Association (ACBD) "2016 Best Asia BD" award、アングレーム国際漫画祭シリーズ賞受賞(2017年)。

 

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白根ゆたんぽ

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1968年埼玉生まれ。東京在住。イラストレーターとして広告やWebコンテンツ、企業コラボなど多くの仕事に携わる。最近ではDAISO50周年記念47都道府県トートバッグへのイラスト提供、東急歌舞伎町タワー LIFE STYLE HOTEL EVAへの作品提供など。クライアントワークの他、年に数回の個展、企画展や海外でのアートフェア、グループ展への参加も行う。

instagram: @yuroom

July 11, 2023

テクノロジーはユートピアになれるのか?「Artificial Reality ー 嘘をつくホンモノ」をWATOWA GALLERY / THE BOX TOKYO (浅草) にて7月22日(土)より開催

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この度、アートプロジェクト・コレクティブ WATOWA GALLERY は、今日のポスト·インターネット社会におけるデジタル技術に関する「人間性」の問題に焦点を当て、現代における人間の多様な存在のあり方をアートにより可視化する企画展「Artificial Realityー嘘をつくホンモノ」を WATOWA GALLERY / THE BOX TOKYO にて2023年7月22日(土)から8月6日(日)まで開催いたします。

 

Statement


人間は知恵を持ち始めて以降、文化や技術の進歩とともに、常に進化してきました。

そして私たちとテクノロジーの出会いは、新しい発見に触れる楽しみと未知をもたらす不安が交差しています。昨今のデジタル・テクノロジーに覆われた現代社会においては、GAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon)を代表とする大手IT企業が便利で豊かな世界の表象を構築しています。

そして、この社会におけるあらゆる問題の背後にはテクノロジーの影が見え隠れしています。特に最近公開されたChatGPTをはじめとするAIソフトは、多くの分野で人間の代わりを果たす傾向があり、人間としての我々はこれからどこへ行くのかが急速に問われています。私たちのテクノロジーへの信仰と熱意が、本当に美しいユートピアを築くことにつながるのでしょうか。

本展示は4人のアーティストによる写真、映像、インスタレーション作品で構成されるテクノロジー・ユートピアへの問いが投げかけられています。やんツーは先端テクノロジーが持ちうる公共性や政治性を考察しながら、西洋合理主義を基に成立された「知」の本質の再考察をテーマとした作品を展示し、他の作家たちもポスト・インターネット上で人間活動の表象の提示や監視カメラによるコントロール現象などの問題を提起します。

これらの作品を通じて、テクノロジーによって加速した社会における私たち自身のアイデンティティや「人間」としての存在のあり方を考えるきっかけとして、また、既存の認識を超えた物事との付き合い方を見出し、これからを創る人々に、テクノロジーと人間の新たな関係性を築くヒントとなることを目指します。

WATOWA GALLERY 代表 小松 隆宏

 

About the Aritists


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平瀬ミキ Miki Hirase

武蔵野美術大学美術学部彫刻学科卒業、情報科学芸術大学院大学[IAMAS]メディア表現専攻修了。主な展示に「第14回恵比寿映像祭」(2022年)、「差異の目」(2019年)、「エマージェンシーズ! 036《Translucent Objects》」(2018年)など。「第25回 文化庁メディア芸術祭」新人賞、「やまなしメディア芸術アワード」Y-GOLD(最優秀賞)受賞。

デジタルデバイス上での情報を見る行為に素材の特性を組み合わせることで、情報の残存性や人の見ようとする力にアプローチする作品を制作する。

 

WebSitehttp://mikihirase.x0.com/

2021_ABCGS_square.jpegやんツー yang02

1984年、神奈川県生まれ。美術家。セグウェイが作品鑑賞する空間や、機械学習システムを用いたドローイングマシンなど、今日的なテクノロジーを導入した既成の動的製品、あるいは既存の情報システムに介入し、それらを転用/誤用する形で組み合わせ作品を構築する。菅野創との共同作品が文化庁メディア芸術祭アート部門にて第15回で新人賞(2012)、同じく第21回で優秀賞(2018)を受賞。2013年、新進芸術家海外研修制度でバルセロナとベルリンに滞在。近年の主な展覧会に、「六本木クロッシング2022展:往来オーライ!」(森美術館、東京)、「遠い誰か、ことのありか」(SCARTS、札幌)など。和田ながら演出による演劇作品の舞台美術や、contact Gonzoとのパフォーマンス作品など、コラボレーションも多く手掛けている。 

 

WebSite:http://yang02.com

Instagram:@yang02(https://www.instagram.com/yang02/

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羊喘兒 SHINKA

東京と上海を拠点とした活動しているメディア・アーティスト

2018年多摩美術⼤学⼤学院情報デザインメディアアート専攻修了、2022年同校美術研究科博⼠後期課程修了、博⼠号取得。

様々なデジタル・メソッドを使い、消費主義の分脈における、現実である巨⼤な⼈造物は、どのように計算、⽣成、配置されるのかをテーマに創作活動を⾏い、リアリティの虚構性を捕捉する。作品は、3331千代⽥アートセンター、YCC横浜創造センター、東京科学未来館、鳳甲美術館(台湾)、原美術館(重慶)、成都時代美術館、上海当代芸術博物館などにて展⽰された。⼤京都Re: Researchアーティスト・イン・レジデンシープロジェクト(2020、2021)、ATAMI ART GRANT 2023に参加。

 

WebSite:https://yaaaaaawn.com/

Instagram:@yaaaaawn_(https://www.instagram.com/yaaaaawn_/

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林煜涵 Lin Yuhan

1996年中国福建省生まれ、2018年清華大学美術学部卒業、2022年東京芸術大学先端芸術表現科卒業。その後アーティス トとして活動を始める。 

「主に写真メディアによって作品を作っている。画像生成のロジック自体が「写真の本質」であると信じ、特にリアリティ、見ること、写真であることの本質性について、興味を抱いている。視覚情報を用いて、いかに大衆の関心を一定の方向に向かわせるかということが、私の制作の大きな動機となった。」 

 

WebSite:https://www.linyuhan.work/850nm/

Instagram:@ linyh14( https://www.instagram.com/linyh14/

 

DETAIL 


会期:2023年7月22日(土) 〜 8月6日(日) 12:00-19:00 ※木曜定休

会場:WATOWA GALLERY / THE BOX TOKYO(東京都台東区今戸1丁目2-10 3F)

主催:WATOWA GALLERY(WATOWA INC.)

協力:rin art association

入場料 : ドネーション500円 〜

*7/26 ( 水 )、8/2 ( 水 ) は観覧無料

*右記 URL からの事前予約制 https://artsticker.app/events/11686

*⾃⾝で⾦額を決定するドネーションシステム(ミニマム500円から⼊場料を⾃⾝で決定し、それが若⼿アーティスト⽀援のためのドネーションとなるシステム。アーティスト⽀援と国内アートシーンの活性化を⽬的としたアートアワード WATOWA ART AWARD 2023 EXHIBITION に寄付されます。

 

イベントページ:http://www.watowa.jp/news/2023/07/ArtificialReality.html

HP: http://watowagallery.com

Instagram: @watowagallery

CONTACT: gallery@watowa.jp

 

 

June 11, 2023

目は真実を知ってる? 「LAYERED ー 網膜に生まれるイリュージョン」がWATOWA GALLERY / THE BOX TOKYO (浅草) にて7月1日より開催

表示LAYERED_KV.pngこの度、アートプロジェクト・コレクティブWATOWA GALLERYは、12名の新進気鋭のアーティストによりGroup Show "LAYEREDー網膜に生まれるイリュージョン"を2023年7月1日(土)から7月16日(日)まで開催いたします。

 

Statement


網膜は、私たちが世界を知覚するための窓口ですが、人間の目は時折、現実と幻想の狭間で錯覚を引き起こすことがあります。本展覧会は、12名の新進気鋭の作家による平面と立体作品で構成され、網膜上で生じるイリュージョンについて探求します。

 

目を閉じれば、網膜は目のレイヤーと言えるでしょうか。人間の網膜に映るイメージの重層性(LAYERED)は、虚と実の境界を揺れ動く感覚を生み出します。このレイヤー的な表象は、人々の好奇心を引きつけ、同時に不安と矛盾が渦巻いています。

1960年代、ギー·ドゥボールは「スペクタクルの社会」という概念を提唱しました。それはマスメディアの発展に伴い、資本主義が消費社会へと変容し、人々の生活がすべてメディアによって生み出された表象に基づいていることを指しています。真実性を欠いたこれらの表象は、人間の知覚に影響を与え、個人的思考思考の障壁となります。

現在私たちが置かれている、「情報化社会」においても、スペクタクルの社会は継続しているのでしょうか。特に資本主義のゲームに巻き込まれた私たちは、目に映る情報の表象をどのように意味付けすべきでしょうか。


本展では、作家は個々の創作を通じて、レイヤー的な「イリュージョン」の感じ方を提示しています。

出展作品はミニマル的な表現により、限られた純粋な点線面の組み合わせで抽象的な表現を行うキャンバスを通じて、平面を超えた3次元以上の可能性を探求します。膨大な情報に囲まれた人々に、「必要最小限」や「Less is More」という概念の具象化して提示してくれます。また、作家自身の体験をもとに、資本主義のゲームにおける虚と実を示唆しています。

本展覧会はこれらのイリュージョンを通じて、現実と幻想の間にある現代社会の一端を映し出しています。


WATOWA GALLERY 代表 小松 隆宏

DETAIL


タイトル: LAYERED ー 網膜に生まれるイリュージョン
会期: 2023年7月1日(土) 〜 7月16日(日) 12:00-19:00 ※木曜定休

会場: WATOWA GALLERY / THE BOX TOKYO 東京都台東区今戸1丁目2-10 3F

主催: WATOWA GALLERY (WATOWA INC.)

協力: KOTARO NUKAGA, EUKARYOTE

入場料:ドネーション 500円 〜

*7/5 ( 水 )、7/12 ( 水 ) は観覧無料

*右記 URL からの事前予約制 https://artsticker.app/events/10069
*⾃⾝で⾦額を決定するドネーションシステム(ミニマム 500 円から⼊場 料を⾃⾝で決定し、それが若⼿アーティスト⽀援のためのドネーショ ンとなるシステム。アーティスト⽀援と国内アートシーンの活性化を⽬的としたアートアワード WATOWA ART AWARD 2023 EXHIBITION に寄付されます。

 

イベントページ: http://www.watowa.jp/news/2023/06/LAYERED.html 

HP: http://watowagallery.com

Instagram: @watowagallery

CONTACT: gallery@watowa.jp

出展作家/代表作品(五十音順)


井上 七海 Nanami Inoue 

上田 尚宏 Takahiro Ueda 

近藤 洋平 Yohei Kondo  

澤田 明子 Akiko Sawada  

品川 はるな Haruna Shinagawa  

NANDE(南出直之)

西村 祐美 Yumi Nishimura 

平子 暖  Hirako Dan 

星 飛鳥 Asuka Hoshi 

松岡 柚歩 Yuzuho Matsuoka

御村 紗也 Saya Mimura 

横村 葵 Aoi Yokomura 

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WATOWA GALLERY / THE BOX TOKYO とは


WATOWA GALLERYは、現代日本のストリートカルチャーやファッション、独創的・先進的なテクノロジーや「ジャパニーズ・フィロソフィー」を取り入れた新しい感性を持つ若手の作家を中心として、アート・コミュニケーションの場を提供するアートプロジェクト/プロデュース集団です。アートが ファッションのように親しみやすいカルチャーとなり、ひとりひとりのライフスタイルに溶け込む社会を拓くため、新しい感覚のエキシビションや、ア ートプロジェクトのプロデュース・演出を行い、アートに触れるタッチポイントを拡大します。

現在も国内外で評価されている主要なアートムーブメントの多くは、ミュージアムの外で、そして多様なジャンルのアーティストと支援者との交流によって生まれています。わたしたちは特定のアートスペースを持たず、あらゆる空間をギャラリーと捉え、アートをミュージアムからコミュニティへ、都市へ、住空間へ開放し、ミュージアムの外からさまざまな分野のプロフェッショナルと横断的なアートプロジェクトを発信していきます。さらに、日本の若手アーティストの活躍と日本の若手コレクターの参入をサポートし、アーティストと支援者の交流を促進します。

WATOWA GALLERYを媒介とした新しいコミュニケーションやコミュニティの育成によって、次の時代のアートシーンを創造し、市場の活性化を目指します。2019年より特定の場所を持たないプロデュース集団としての活動をしておりましたが、2022年9月より、初のWATOWA GALLERYの本拠地となる WATOWA GALLERY / THE BOX TOKYO を浅草・今戸にローンチ。




 

 

 

 



 

May 29, 2023

"自然と人間の関係性"をテーマに活動を行うアーティストを募った企画展 「Back to Nature」を6月10日より開催

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 この度WATOWA GALLERYは、LAを拠点に置くアーティスト、アレハンドロ・ロベスを中心とした、自然と人間の関係性、をテーマに制

作活動を行うアーティストを募った企画展、Back to Nature を開催いたします。本展では、それぞれ拠点の異なる作家による作品を 通して、現代社会おける人間という生き物にとっての自然とは何なのか?という問いを提示し、自然との対話を促します。

 アーティストのアレハンドロは、現代を「自然と人間が最大限に乖離した今までにない社会」とし、彼自身が自然との対話を通して制作 した作品を提示。Yosemite シリーズでは、作家自身がアメリカ / カリフォルニアのYosemite vallyの山奥に赴き、人が立ち入らないような過 酷な環境の中で制作した絵画作品群を展開。一人広大な大地に身を置き自然と向き合うことで、作家自身が仏教寺院での五行修行によって得た、最終的に何も存在しない境地 ―「無」に到達するという経験を呼び起こし、それによって得た新たな自然との新たな関係性を掲示します。

 登半島の"海ごみの山"を訪れた経験を契機に、大量消費社会が生み出した"ゴミ問題" について考えを巡らせた美術家の藤元明は、実際に能登半島のごみを素材として制作した海ごみシリーズ "LAST HOPE" を出展。2020年の当ギャラリーにおける個展にて、初めてギャラリーにて売約された作品群として知られる本シリーズは、アクセスの厳しい浜に国境を漂着し、溜まり続ける海ごみの山の直ぐ側に、藤元が道具を持ち込み溶かし固めるという工程経て制作され、素材の色をそのまま活かした鮮やかな抽象表現作品として提案されます。

 自身にとって自然は、飽きることのない象徴的なモチーフと語る原口みなみは、"記憶" や "思い出" をキーワードに、鑑賞者自身の記憶と のつながりを通して得られるプリミティブな感情との共鳴、をテーマとして制作活動を行うアーティスト。2022年度、雲丿平山荘AIRプログラムにおける滞在制作を経て制作した絵画作品群を始め、作家の特徴の一つでもある花をモチーフとした作品などを展示。出展作品のう ちのひとつ「山のまつり」は、雲ノ平で見たニッコウキスゲの群生と、春になりそれらが一気に芽吹いた美しさ、またある種の恐ろしさや 狂気が発想の起点となっており、教会で見られる祭壇画のように三連画を用いることで、自然への畏怖や神々しさを掲示します。

 WATOWA GALLERYの考える、新たな展覧会を起点とした自然との接続を、ぜひご覧ください。


About the Aritists


Alex profile.pngAlejandro M Lopez アレハンドロ・ロペス

ロサンゼルスに生まれ、アートセンター・カレッジ・オブ・デザインで学ぶ。卒業後 25 年の間アメリカを離れ、四大陸で生活し、絵を描いてきた。現在はカリフォルニアに在住。 「その旅の中で、私たちが互いに分かち合っている共通点や自然そのものに、人間の絆を見出したのです」。

彼の画家としての活動の大部分はチャリティー活動の分野で行われていました。東京、パリ、カラカス、ロサンゼルスで開催されたグループ展に参加するなど、ワールドワイドに作家活動を行っております。



WebSite:https://minamiharaguchi.com
Instagram : @AlejandroLopez https://instagram.com/amlart?igshid=OGQ5ZDc2ODk2ZA==
Youtube : https://www.youtube.com/@aml-art



藤本明Akira Fujimoto (1)(3)(1).jpg

Akira Fujimoto 藤元明

1975 年東京生まれ、東京在住、東京藝術大学デザイン科卒業。

1999 年コミュニケーションリサーチセンター FABRICA(イタリア)に在籍後、東京藝術大学大学院を修了(デザイン専攻)。東京藝術大学先端芸術表現科助手を経て、社会、環境などで起こる制御出来ない現象を社会へと問いかける展示やプロジェクトを立案・実施。様々なマテリアルやデジタル制御を組み合わせ、作品化している。

近年の主な個展に『Diastrophism- 地殻変動 -』(2022 年、六本木 蔦屋書店・BOOK GALLERY、東京)、

『A Plastic on shore海岸のプラスチック』(2021 年、サンシャインシティ、東京)、『海の近景

‒Foreground of Sea‒』(2021 年、イイナパーク川口・歴史自然資料館、埼玉)、『海ごみのあと』(2021 年、

elephant STUDIO、東京)、『Structure Slide』(2021 年、GALLERY ROOM・A、東京)など。グルー

プ展に『Proximate Horizons 近しい遠景』(2022 年、ソノ アイダ # 新有楽町、東京)、『FUTURE

MEMORY』(2021 年、コートヤード HIROO GALLERY、東京)、『ソノ アイダ #COVID-19』(2020 年、

オンライン展示)、『慰霊のエンジニアリング』(2019 年、TODA BUILDING(TOKYO 2021)、東京)、『交

伹域 Cross Domain』(2018 年、Suzhou Jinji Lake Art Museum、蘇州、中国)など。都市に生じる

時空間的な伱間を活用するアートプロジェクト「ソノ アイダ」を主宰。

HP: https://vimeo.com/akirafujimoto https://www.1future.jp https://www.tokyo2021.jp

https://sonoaida.jp

IG: @akira_fujimoto


345661287_498879275697473_4986942082961486932_n (1)(1).jpgMinami Haraguchi 原口みなみ

1990年大阪生まれ。2016年京都市立芸術大学院修士課程修了。日常にある些細なものを象徴化する作品制作を行う。表現方法は平面絵画からインスタレーションまで多岐に及ぶが、近年ではモチーフをデジタルドローイングし、切り紙でコラージュ、それを油絵にするという媒体を何度も移りかえていく表現技法をとる。主な個展に「シンボルとジャンク」福住画廊 / 大阪(2021)、「ハイ・ヌーン・カウンター」福住画廊 / 大阪(2018)、グループ展に「Diffusion of Nature 2023 土と夢」WATOWA GALLERY / THE BOX TOKYO(東京)、「PLAY」Yoshiaki Inoue Gallery/大阪(2022)、「台灣當代一年展」台北花博公園爭艷館 / 台湾(2019)などがある。

 

HP:minamiharaguchi.com

IG:rainbow_moci

開催概要


【タイトル】Back to Nature
【会期】6/10(土) - 6/29(木) 
【会場】elephant STUDIO 1F-2F  
【入場料】入場(ドネーションチケット) : 500円(税込)〜
* 6/24(水), 6/21(水),6/28(水)は観覧無料
*右記 URL からの事前予約制
https://artsticker.app/events/9342
*⾃⾝で⾦額を決定するドネーションシステム(ミニマム 500 円から⼊場 料を⾃⾝で決定し、それが若⼿ アーティスト⽀援のためのドネーショ ンとなるシステム。アーティスト⽀援と国内アートシーンの活性化を⽬的としたアートアワード WATOWA ART AWARD 2023 EXHIBITION に寄付されます。
【主催】WATOWA GALLERY      
イベントページ:http://www.watowa.jp/news/2023/05/back-to-nature.html  
Instagram:https://www.instagram.com/watowagallery/   
CONTACT:gallery@watowa.jp

アーティスト・トーク

開催に先駆け、 6/9(金) にアーティスト・トークを開催いたします。
<日時> 6/9(金) 17:00 ~ 17:30
<登壇者> アレハンドロ・ロペス、小松隆弘(WATOWA GALLERY) 、藤元明
※ゲスト登壇の可能性あり
※予約制。以下メールアドレスまでご連絡くださいませ
gallery@watowa.jp




May 22, 2023

"花はどこへ行った ?〜Where have all the flowers gone?" ミレイヒロキによる展示を6月5日より開催

MireyHIROKI_kv.pngのサムネイル画像この度、プロジェクト・プロダクション・コレクティブWATOWA GALLERYは、 芸術家・ミレイヒロキによる展示をWATOWA GALLERY / THE BOX TOKYO にて2023年6月5日(月)から6月25日(日)まで開催いたします。

Statement


1993年よりアメリカの⻄海岸に残っていたヒッピーカルチャーを中心に、グラフ ィティ・ヒップホップカルチャーに影響を受けてグラフィティ集団KBHの唯一の 日本人として、クレヨン、アクリル、スプレー、油等の画材を使い"花"を描き始 める。
2007年、1995年ボストン在住時に構想した使い捨てビニール傘に花のペイント をして街で一⻫に開き街を花で埋め尽くす作品 「100UMBRELLAS」を渋谷スクランブル交差点でゲリラパフォーマンスを決行、 ビニール傘の使い捨て問題への問いと、"ハプニング"のアート活動を実験的に行 う。
以来、東京を中心に、京都、広島、福島、熊本など多数の街にその時に集まった ボランティアや、その場にいる人たちと、花を咲かすアートパフォーマンスを行 ってきた。
また東日本大震災の被災地、被災者の心のケアを花のペイントや、2015年から 2018年にかけて、広島原爆ドーム前での追悼パフォーマンス、インスタレーショ ンなど、日本が持つ戦争や震災といった破壊のあった歴史的場所で"花"を咲かせ ていくという活動がいつしかミレイヒロキのヒップホップ、ストリートのバック ボーンから来ている、立ち上がる精神、強く美しく生きてゆく姿勢とリンクして 人々に影響を与えているのではないだろうか?
"花"という一般的かつ普遍的なモチーフはプリミティブな人間のシンプルな思考 として、美しさ、儚さ、強さ、弱さなど、さまざまな感情に訴えかける。 ミレイヒロキは、"花"を媒介として、LAの貧富の差のあるカルチャーの中で、彼 らが生き抜いてきたアメリカでの仲間との時間や生きざま、ストリートから得てきた精神を共有しているのだろう。
"強く美しく生きる"
アーティストのクリストが世界のさまざまな場所を"梱包"するシリーズにあるように、本人もランドアートと言われることに疑問を持ち、そもそも何がアートなのか?芸術性とは?の議論のきっかけ自体を生み出している。
ミレイヒロキは国内で「花の傘」のインスタレーションは話題にはなったが、日本のアート業界からは"アート?アートではない?"と話されて いた。 2010年にクリストが来日した際、直接会いに行き"花の作品"を見せクリストと話をした。返って来た言葉はとてもシンプルで気持ちを後押しさ れたと語る。" You are ARTIST "
その事が今も花を描き続ける事へ少なからず影響を与えている。 その瞬間に開いた"花"はいったいどこへ行った? そもそも、その"花"とはなんだったのか?
ミレイヒロキは"花"が行きたいところについていったような感覚だ、と語るが、それは地域や社会、そこにいる人が"それ"を求めていたのかも しれない。シンプルな花の絵の奥に、何か物悲しくも、強い意志のような感覚を感じずにはいられない。写真では伝わらない、彼らの活動の軌跡を目の当たりにしていただきたい。


WATOWA GALLERY 代表 小松隆宏

ミレイヒロキよりメッセージ


今回の個展に向けて制作した100号8点からなる連作シリーズは「花と死には類似点がある」という言葉にインスピレーションを得て作 品を制作。 花が持つ生と死の関連性や生命力を表すことに着目し、自分たちの中にある花を描く衝動や動機を探求、生き続ける花と枯れていく花の 相対性を描いた。手法は90年代にLAやNYのアンダーグラウンドで活動していたグラフィティアーティストやミレイヒロキもメンバーで あるLAを拠点に活動するアーティスト集団KBHとの関わりの中で実際に体現したスプレーペインティングから引用。色のしぶきのコント ロールと体感を組み合わせることで、キャンバス上に強いタギング※要素を作り出しコロナやロシアのウクライナ進攻など、現代におけ る絶望的な状況の中でも自分たちの魂の衝動を制作にぶつける価値観を追及した。
生き続ける花と枯れていく花の相対性とは、花が生命力あふれる存在でありながら、同時に儚くて一瞬一瞬が貴重な存在であるというこ とを表している。花は色鮮やかで美しく、私たちに様々な感情や思い出をもたらすが、同時に枯れていく過程も見守ることができる。作 品では、生き続ける花と枯れていく花の対比として生命力溢れる力強い花を描いているが、徐々に枯れていく終わりの始まりを花びらか ら落ちていく色で表現している。
描く花は花瓶に飾られる花ではなく、大地に咲く花をイメージしてキャンバスの下から上へ大胆に描く。それは自然の美しさや生命力を 讃え、その力強さを表現したいという思いからです。
 ※タギング(tagging)とは街のあちこちに見られる個人や集団のマーク(目印)とされるものを描いて回る行為。

批評文


ミレイヒロキは2人の人間でありながら、1人の芸術家として活動してきた。その2人の人間は、それぞれ、あるいは共に、1980年代以降、 アメリカ各地を中心にして、(特殊)メイク、フィルム、ファッション、ストリート(ヒッピー)・カルチャーなどを領域域横断的に摂 取してきた。ミレイヒロキの芸術実践は、それゆえ、「二人それぞれが数人だったのだから、それだけでもう多数」(ジル・ドゥルーズ +フェリックス・ガタリ『千のプラトー──資本主義と分裂症』)であるような幅広さと奥行きが備わっている。ミレイヒロキは一貫して「花」をモチーフとして作品を制作し続けている。資金が底をついて唯一手元に残ったクレパスを使って、1枚 のわら半紙に2人で描いた花は、キャンバスの外へと出て、さらには美術館やギャラリーの外へと出た。公共空間を通じて国内外に広が ってきた花々は、作者の手を離れたあとでさえ、あたかも自律した生命体のように増殖を止めることはない。本展では、コロナ禍やウク ライナ侵攻などを経て、ミレイヒロキの花々が照らし出す現代の様相が示されるだろう。

文化研究者 山本 浩貴

Artist's profile


アーティスト写真(1).jpgミレイヒロキ
ミレイヒロキは2人の人間でありながら1人の芸術家として活動。 近年ではSHARE FLOWERSを立ち上げ「環境・心」などをテーマに作 品を制作。 これまでにミッキーマウス生誕75周年、90周年の為の絵画制作、イサム ノグチ「AKARI」とのコラボレーション。 2007年からは表参道ヒルズ・渋谷交差点・京都鴨川・赤坂サカス・大坂 梅田、 椿山荘庭園、広島旧日本銀行、広島原爆ドーム前など日本各地をキャン バスに大規模な作品を発表。 新聞、報道など社会面で数多く取り上げられる。ビニール傘の使い捨て 問題を国内に広げ報道写真展に記事が選出される。 2010年はNYのセントラルパークで開催された日米親善交流イベント 「JAPAN DAY」公式アーティストとして全てのビジュアルアートを担 当。 デザインしたT-シャツがチャリティー販売され4本の桜の木が親善の証 としてNY在総領事館よりセントラルパークに植樹される。 2011年以降は総合的なアートプロデュースを各地で展開する。 東日本大震災へのアート活動がNHK「花は咲く」でドキュメンタリー として国際放送含め放送される。 またNHK「美の壺」にも作品が取り上げられる。 被爆70年をむかえた2015年NHK広島を5~8月と総合演出。 2017年には年間を通して総合演出した作品が「DSA日本空間デザイン 銀賞獲得」 2019年10月環境フェスティバル福岡総合演出、12月東京都神代植物 公園にてインスタレーション作品設置。 2020年は環境庁のプロジェクトで各地へ視察、アートを通して新たな発 見、可能性を探る。 東日本大震災、熊本地震、水害被害などを受けた地域への継続的な活動 支援は現在も続けられている。 「アートの力」で全国に花を咲かせているアーティスト。
WebSite:https://www.share-flower.com/ Instagram:https://www.instagram.com/artist_mireyhiroki/

出展作品例

スクリーンショット 2023-05-22 19.36.31.png活動例
スクリーンショット 2023-05-22 19.36.36.png


開催概要


会 期:2023年6月5日(月)〜 6月25日(日)12:00 - 19:00 ※木曜定休
会 場:WATOWA GALLERY / THE BOX TOKYO(東京都台東区今戶1丁目2-10 3F)
入場料 :ドネーションチケット 500円(税込)〜
※6/7(水)、6/14(水)、6/21(水)は観覧無料
※自身で金額を決定するドネーションシステム(ミニマム 500 円から入場 料を自身で決定し、それが若手アーティスト支援のためのドネーションとなるシステム。
アーティスト支援と国内アートシーンの活性化を目的としたアートアワード WATOWA ART AWARD 2023 EXHIBITION に寄付されます。) ※観覧にはご予約が必要です
こちらのURLよりご予約をお願いいたします:https://artsticker.app/events/7394
イベントページ: http://www.watowa.jp/news/2023/05/-where-have-all-the-flowers-gone-65.html
Instagram:@watowagallery
CONTACT: gallery@watowa.jp


    




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