この度、プロジェクト・プロダクション・コレクティブWATOWA GALLERYは、 芸術家・ミレイヒロキによる展示をWATOWA GALLERY / THE BOX TOKYO にて2023年6月5日(月)から6月25日(日)まで開催いたします。
Statement
1993年よりアメリカの⻄海岸に残っていたヒッピーカルチャーを中心に、グラフ ィティ・ヒップホップカルチャーに影響を受けてグラフィティ集団KBHの唯一の 日本人として、クレヨン、アクリル、スプレー、油等の画材を使い"花"を描き始 める。
2007年、1995年ボストン在住時に構想した使い捨てビニール傘に花のペイント をして街で一⻫に開き街を花で埋め尽くす作品 「100UMBRELLAS」を渋谷スクランブル交差点でゲリラパフォーマンスを決行、 ビニール傘の使い捨て問題への問いと、"ハプニング"のアート活動を実験的に行 う。
以来、東京を中心に、京都、広島、福島、熊本など多数の街にその時に集まった ボランティアや、その場にいる人たちと、花を咲かすアートパフォーマンスを行 ってきた。
また東日本大震災の被災地、被災者の心のケアを花のペイントや、2015年から 2018年にかけて、広島原爆ドーム前での追悼パフォーマンス、インスタレーショ ンなど、日本が持つ戦争や震災といった破壊のあった歴史的場所で"花"を咲かせ ていくという活動がいつしかミレイヒロキのヒップホップ、ストリートのバック ボーンから来ている、立ち上がる精神、強く美しく生きてゆく姿勢とリンクして 人々に影響を与えているのではないだろうか?
"花"という一般的かつ普遍的なモチーフはプリミティブな人間のシンプルな思考 として、美しさ、儚さ、強さ、弱さなど、さまざまな感情に訴えかける。 ミレイヒロキは、"花"を媒介として、LAの貧富の差のあるカルチャーの中で、彼 らが生き抜いてきたアメリカでの仲間との時間や生きざま、ストリートから得てきた精神を共有しているのだろう。
"強く美しく生きる"
アーティストのクリストが世界のさまざまな場所を"梱包"するシリーズにあるように、本人もランドアートと言われることに疑問を持ち、そもそも何がアートなのか?芸術性とは?の議論のきっかけ自体を生み出している。
ミレイヒロキは国内で「花の傘」のインスタレーションは話題にはなったが、日本のアート業界からは"アート?アートではない?"と話されて いた。 2010年にクリストが来日した際、直接会いに行き"花の作品"を見せクリストと話をした。返って来た言葉はとてもシンプルで気持ちを後押しさ れたと語る。" You are ARTIST "
その事が今も花を描き続ける事へ少なからず影響を与えている。 その瞬間に開いた"花"はいったいどこへ行った? そもそも、その"花"とはなんだったのか?
ミレイヒロキは"花"が行きたいところについていったような感覚だ、と語るが、それは地域や社会、そこにいる人が"それ"を求めていたのかも しれない。シンプルな花の絵の奥に、何か物悲しくも、強い意志のような感覚を感じずにはいられない。写真では伝わらない、彼らの活動の軌跡を目の当たりにしていただきたい。
WATOWA GALLERY 代表 小松隆宏
ミレイヒロキよりメッセージ
今回の個展に向けて制作した100号8点からなる連作シリーズは「花と死には類似点がある」という言葉にインスピレーションを得て作 品を制作。 花が持つ生と死の関連性や生命力を表すことに着目し、自分たちの中にある花を描く衝動や動機を探求、生き続ける花と枯れていく花の 相対性を描いた。手法は90年代にLAやNYのアンダーグラウンドで活動していたグラフィティアーティストやミレイヒロキもメンバーで あるLAを拠点に活動するアーティスト集団KBHとの関わりの中で実際に体現したスプレーペインティングから引用。色のしぶきのコント ロールと体感を組み合わせることで、キャンバス上に強いタギング※要素を作り出しコロナやロシアのウクライナ進攻など、現代におけ る絶望的な状況の中でも自分たちの魂の衝動を制作にぶつける価値観を追及した。
生き続ける花と枯れていく花の相対性とは、花が生命力あふれる存在でありながら、同時に儚くて一瞬一瞬が貴重な存在であるというこ とを表している。花は色鮮やかで美しく、私たちに様々な感情や思い出をもたらすが、同時に枯れていく過程も見守ることができる。作 品では、生き続ける花と枯れていく花の対比として生命力溢れる力強い花を描いているが、徐々に枯れていく終わりの始まりを花びらか ら落ちていく色で表現している。
描く花は花瓶に飾られる花ではなく、大地に咲く花をイメージしてキャンバスの下から上へ大胆に描く。それは自然の美しさや生命力を 讃え、その力強さを表現したいという思いからです。
※タギング(tagging)とは街のあちこちに見られる個人や集団のマーク(目印)とされるものを描いて回る行為。
批評文
ミレイヒロキは2人の人間でありながら、1人の芸術家として活動してきた。その2人の人間は、それぞれ、あるいは共に、1980年代以降、 アメリカ各地を中心にして、(特殊)メイク、フィルム、ファッション、ストリート(ヒッピー)・カルチャーなどを領域域横断的に摂 取してきた。ミレイヒロキの芸術実践は、それゆえ、「二人それぞれが数人だったのだから、それだけでもう多数」(ジル・ドゥルーズ +フェリックス・ガタリ『千のプラトー──資本主義と分裂症』)であるような幅広さと奥行きが備わっている。ミレイヒロキは一貫して「花」をモチーフとして作品を制作し続けている。資金が底をついて唯一手元に残ったクレパスを使って、1枚 のわら半紙に2人で描いた花は、キャンバスの外へと出て、さらには美術館やギャラリーの外へと出た。公共空間を通じて国内外に広が ってきた花々は、作者の手を離れたあとでさえ、あたかも自律した生命体のように増殖を止めることはない。本展では、コロナ禍やウク ライナ侵攻などを経て、ミレイヒロキの花々が照らし出す現代の様相が示されるだろう。
文化研究者 山本 浩貴
Artist's profile
ミレイヒロキ
ミレイヒロキは2人の人間でありながら1人の芸術家として活動。 近年ではSHARE FLOWERSを立ち上げ「環境・心」などをテーマに作 品を制作。 これまでにミッキーマウス生誕75周年、90周年の為の絵画制作、イサム ノグチ「AKARI」とのコラボレーション。 2007年からは表参道ヒルズ・渋谷交差点・京都鴨川・赤坂サカス・大坂 梅田、 椿山荘庭園、広島旧日本銀行、広島原爆ドーム前など日本各地をキャン バスに大規模な作品を発表。 新聞、報道など社会面で数多く取り上げられる。ビニール傘の使い捨て 問題を国内に広げ報道写真展に記事が選出される。 2010年はNYのセントラルパークで開催された日米親善交流イベント 「JAPAN DAY」公式アーティストとして全てのビジュアルアートを担 当。 デザインしたT-シャツがチャリティー販売され4本の桜の木が親善の証 としてNY在総領事館よりセントラルパークに植樹される。 2011年以降は総合的なアートプロデュースを各地で展開する。 東日本大震災へのアート活動がNHK「花は咲く」でドキュメンタリー として国際放送含め放送される。 またNHK「美の壺」にも作品が取り上げられる。 被爆70年をむかえた2015年NHK広島を5~8月と総合演出。 2017年には年間を通して総合演出した作品が「DSA日本空間デザイン 銀賞獲得」 2019年10月環境フェスティバル福岡総合演出、12月東京都神代植物 公園にてインスタレーション作品設置。 2020年は環境庁のプロジェクトで各地へ視察、アートを通して新たな発 見、可能性を探る。 東日本大震災、熊本地震、水害被害などを受けた地域への継続的な活動 支援は現在も続けられている。 「アートの力」で全国に花を咲かせているアーティスト。
WebSite:https://www.share-flower.com/ Instagram:https://www.instagram.com/artist_mireyhiroki/
出展作品例
会 期:2023年6月5日(月)〜 6月25日(日)12:00 - 19:00 ※木曜定休
会 場:WATOWA GALLERY / THE BOX TOKYO(東京都台東区今戶1丁目2-10 3F)
入場料 :ドネーションチケット 500円(税込)〜
※6/7(水)、6/14(水)、6/21(水)は観覧無料
※自身で金額を決定するドネーションシステム(ミニマム 500 円から入場 料を自身で決定し、それが若手アーティスト支援のためのドネーションとなるシステム。
アーティスト支援と国内アートシーンの活性化を目的としたアートアワード WATOWA ART AWARD 2023 EXHIBITION に寄付されます。) ※観覧にはご予約が必要です
こちらのURLよりご予約をお願いいたします:https://artsticker.app/events/7394
イベントページ: http://www.watowa.jp/news/2023/05/-where-have-all-the-flowers-gone-65.html
Instagram:@watowagallery
CONTACT: gallery@watowa.jp